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東京地方裁判所 昭和51年(特わ)756号 判決

被告人

本店の所在地

東京都千代田区三番町九番地

法人の名称

株式会社ローヤル

(右代表取締役鍵山秀三郎)

本籍

東京都港区南麻布一丁目二番地

住居

千葉県柏市中原一八八一番地の一三七

職業

会社役員

鍵山秀三郎

昭和八年八月一八日生

出席検察官検事

神宮寿雄

主文

被告会社(株)ローヤルを罰金一、三〇〇万円に、

被告人鍵山秀三郎を懲役八月にそれぞれ処する。

ただし、被告人鍵山秀三郎に対しこの裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都千代田区三番町九番地に本店を置き各種自動車用部分品および付属用品の販売等を営業目的とする資本金一億一、七〇〇万円の株式会社であり、被告人鍵山秀三郎は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人鍵山秀三郎は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し期末商品たな卸高を圧縮するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一二七、四八三、九一九円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同四八年五月三一日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在の所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五九、九三五、三九三円でこれに対する法人税額が二〇、四八〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額四五、三〇二、三〇〇円(別紙(三)法人税額計算書参照)と右申告税額との差額二四、八二二、〇〇〇円を免れ

第二  昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇六、四三四、一一〇円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同四九年五月三一日、前記麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一三、八八九、八七七円でこれに対する法人税額が三九、三七六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右被告会社の右事業年度の正規の法人税額七三、三八三、二〇〇円(別紙(四)法人税額計算書参照)と右申告税額との差額三四、〇〇七、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する各供述調書

一  被告会社の会社登記簿謄本

一  収税官吏平野剛之作成の簿外売上調査書(売上高)

一  同山口義夫作成のたな卸金額の推計についての補正書(商品棚卸高)

一  同平野剛之作成の認定利息および認定報酬調査書(給料手当、受取利息)

一  大和銀行川崎支店亀井昭広作成の預金取引についてと題する書面(受取利息・寄付金)

一  収税官吏平野剛之作成の交際費の損金不算入額調査書(交際接待費、同損金不算入額)

一  鍵山秀三郎の収税官吏に対する質問てん末書問二五(福利厚生費)

一  麹町税務署長石山功作成の青申取消証明書(価格変動準備金繰入、同戻入)

一  収税官吏山口義夫作成の事業税認定損調査書(補正)(事業税認定損)

一  羽原博作成の昭和五〇年五月三〇日付上申書(49/3期分当期商品仕入高)

一  押収にかかる左の証拠物(その他の科目と公表額及び過少申告事実)

1  昭和五一年押第九一六号の二の総勘定元帳一綴

2  同押号符三の確定申告書一綴

3  同押号符一の総勘定元帳二綴

4  同押号符四の確定申告書一綴

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一六四条一項、一五九条、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙(一) 修正損益計算書

株式会社 ローヤル

自 昭和47年4月1日

至 昭和48年3月31日

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

株式会社 ローヤル

自 昭和48年4月1日

至 昭和49年3月31日

NO.1

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

株式会社 ローヤル

自 昭和48年4月1日

至 昭和49年3月31日

NO.2

〈省略〉

別紙(三)

法人税額計算書

株式会社 ローヤル

事業年度 自 昭和47年4月1日

至 昭和48年3月31日

〈省略〉

別紙(四)

法人税額計算書

株式会社 ローヤル

事業年度 自 昭和48年4月1日

至 昭和49年3月31日

〈省略〉

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